各大学の伝統や置かれている状況が異なる中、教職員・学生・卒業生などの様々な想いが存在する中で、大学統合・再編を成功裏に収めるためには、大きく3つのチャレンジがあると考えています。
【第1のチャレンジ:如何にして、教育・研究機能を強化するのか】
大学統合・再編は経営の効率化だけでは成功とは言い切れません。効率化により創出された経営資源を最大限活用して教育・研究機能の強化を図り、大学を更に発展させることが、最終的なゴールとなります。経営の効率化と教育・研究強化の双方を実現する為には、各大学が有する強みを掛け合わせて、経営陣や教職員をはじめとした関係者の“想い”を紡ぎ、初期に統合・再編後に目指す姿や方向性を明確にし、中長期のロードマップを描き、その全体戦略に従い統合準備および統合後の活動を計画的に着実に進めていくことが、成功に導く一つ目の鍵と考えています。
【第2のチャレンジ:如何にして、超効率的・効果的な運営体制を確立するのか】
統合・再編の最たる効果は、スケールメリットを活かした経営の効率化であり、各大学で異なる組織構造や業務を統合し、新たな超効果的・効率的運営体制を確立することが最優先課題となります。法令順守や不利益変更には十分考慮した上で、単なる改善に留まらない、業務の標準化・集約化の徹底や、過去からの積み重ねで残っている無駄・過剰な業務の廃止、ロボティクス技術の活用など、組織・業務の抜本的な変革を実現し、効率化効果を最大化する(目安は20~30%の効率化効果創出)、しかも統合後1~3年という早期に効果を創出することが、成功に向けた二つ目の鍵であると考えています。
【第3のチャレンジ:如何にして、多様な関係者を同じ方向に向かせるか】
“変革実現は組織風土に従う”とも言われ、綿密な計画を立てたとしても、組織風土の影響力に対する理解・対応が不足したせいで計画を狂わせてしまったケースは多々あります。教職員・学生・卒業生など多くのステークホルダーが存在する大学統合・再編においては、その重要性が更に高まります。組織や制度などの統合だけでなく、大学ごとで異なる組織風土についてもコントロールすることが、統合・再編を成功に導く三つ目の鍵と考えています。
なるべく多くの関係者が統合を自分事化できるよう、早期より統合・再編の“意義”と個々人の“志”の同期化を図っていくことが重要と考えています。