最低限の制度対応を目指すのであれば、年に1度のコーポレートガバナンス報告書における開示に向け、Excelによる集計プロセスを確立し、人手をかけて対応することとなります。
温室効果ガス排出量を算出するためには、事務所や工場といった各拠点における電力使用量、燃料の消費量だけでなく、購入資材の量や輸配送距離等の情報を収集する必要があります。
いずれも各拠点にバラバラな形でデータが散在しているため、本社の開示担当者が各国・各拠点にExcelファイルを配り、各国・各拠点の各担当者に埋めてもらい、マニュアルで集計するといった業務プロセスを確立することが必要となります。
この場合の最大のポイントは、求める情報の精度です。温室効果ガス(以下GHG)排出量は「活動量 x 排出原単位」で求められます。まず活動量としては、GHGを多く排出している拠点・工場に注力して情報を集め、排出が少ない拠点から集める情報は極力少なくするといった対応が考えられます。 また情報提供を求める取引先も絞り込むといった対応も考えられます。
排出原単位については、共通の数値を使うことにより扱う数字を少なくすることができます。 集める活動量を絞り込み、扱う排出原単位を大括りにするほど、GHG排出量の数字の精度が落ちる一方で、集計の手間は大きく削減することができます。
最低限の制度対応であっても、GHGが可視化されることによるメリットは大きいです。可視化されることで削減プランが見えてくる上、PDCAサイクルを回すことも可能となります。ただし、可視化のサイクルは年度であるため、削減施策のPDCAサイクルが年度になってしまうことには留意が必要です。