科学者のニーズと使いやすさを念頭に置き、共同チームはクラウドコンピューティングのスピード、AIが可能にする自動化、データ分析が向上する意思決定能力を単一のソリューションに統合することを目指しました。そして1年半をかけて、クイーンズランド工科大学、サンゴ礁の研究者、保全活動家、様々な組織のテクノロジー専門家と協力し、オープンアクセスツール「ReefCloud」を開発。
ReefCloudはアマゾン ウェブ サービス(AWS)をホストとするクラウドベースのWebプラットフォームで、コンピュータビジョンを使ってサンゴ礁の写真を解析し、被度や構成などのデータポイントを自動的に抽出、説明をつけて共有します。その後、ユーザーにとって使いやすく設計されたインターフェースを備えたダッシュボードに自動でデータを追加。ダッシュボードはデータから価値あるインサイトを導き出すと同時にレコメンドを提示するので、保全活動家はサンゴ礁の健康状態をすぐに把握することができます。そしておそらく最も重要なのは、知識が広く開放されることでしょう。ReefCloudのプラットフォームがサンゴ礁に関するデータを標準化するので、言語、地域、科学的手法の違いを越えた迅速な分析、報告、伝達が可能になります。
ReefCloudのAIモデルの学習には、AIMSが実施するグレート・バリア・リーフのサンゴ礁モニタリングプログラムのデータ(数千枚の画像とデータポイントを含む)が使用されました。しかしReefCloudを機能させるにはコンピュータビジョンモデルだけでは不十分で、人間が必要です。
コラボレーションのために設計されたReefCloudでは、サンゴ礁をモニタリングのする世界中のコミュニティが写真をアップロードし、リアルタイムで共同作業できます。さらに、新しい写真が追加されるたびにアルゴリズムが学習するので、多くの人々がReefCloudを使うほどより大きな効果が得られます。