調査レポート
成長を生み出す力
高いスピードで拡張性のある成長を実現するためには
5分(読了目安時間)
2024/04/19
調査レポート
高いスピードで拡張性のある成長を実現するためには
5分(読了目安時間)
2024/04/19
世界中の経営幹部970人を対象としたアクセンチュアの最新調査では、新たな製品、サービス、事業への投資に対して期待通りの成長が得られないことが頻繁に発生していることが明らかになりました。経営幹部の81%が過去3年間に新規分野に投下する資本を増やしているにもかかわらず、46%の企業では収益成長が1桁台の伸びに留まり、10%の企業は収益が逆に減少しています。さらに、経営幹部の60%は変化する顧客ニーズに適応するには1年以上かかると回答しています。旧来のモデルは限界に達し、顧客ニーズに迅速に対応する新たな成長戦略を持たなければ生き残ることすらできない可能性もあるのです。
67%
狭い視野にとらわれている:67%の経営幹部が同じ業界でよく似た製品やサービスを販売する大企業を最大の競争相手とみなしていると回答
73%
顧客の根本的な課題を解決していない:73%の経営幹部が、自社は「解決されるべき課題は何か?」を問うことなく、解決策を追い求めていると回答
83%
サイロ化している:83%の経営幹部が、部署を跨いだ積極的なコラボレーションを行っておらず、それが断片的な顧客体験につながっていると回答
顧客の期待に応える製品やサービスをより速く生み出す方法を誰もが模索しています。成長し続ける企業は、スピードと品質が開発プロセスのあらゆる段階を通じて継続的に向上し、提供価値が複合的に高まるようなフライホイール効果を生み出しています。
成長し続ける企業はライフ起点です。つまり、顧客を予測不可能な外的要因に対応し常に変化する多面的な個人として理解し、変化し続けるニーズや優先事項に応えることをビジネスの中心に置きます。このよう進化できるのは、組織が人々の生活の速度に合わせて自由に動けるスピードを備えているからです。成長し続ける企業は、ライフ起点を実現し、組織の速度を高めビジネス成果をより速く得るためのツールとして生成AIなどの新たなテクノロジーを活用しています。そのため、これらの企業は結果が出ない取り組みを延々と繰り返すことから解放されています。それは、人間とテクノロジーがそれぞれ得意なことをする共生関係のおかげです。
仮にAccenture Global 2000(アクセンチュアが収益に基づいて定めた2,000社の企業)が2022年に成長し続けるためのライフ起点の戦略を採用していれば、同年だけで合計8,000億ドルの追加成長を遂げることができた可能性があります。これを踏まえると、現在350億ドル規模の企業は1年間で9億ドル、今後5年間で最大79億ドルの追加収益を創出する可能性があるということになります。
1.6x
製品やサービスと顧客との共感関係を継続的に検証する新たなイノベーションの取り組みにより、収益が1.6倍増加
19%
製品を1年以内に適応させることで、新規収益および拡大収益の成長が19%高まる
17%
成長ポートフォリオの再構築により、新規収益および拡大収益の成長が17%増加
私たちは調査を通して、成長し続ける企業になるための本質を見極め、解決策に近づくために企業が取るべき行動を特定しました。
顧客に寄り添うには、顧客の万華鏡のような生活、つまり色とりどりに常に変化し矛盾するニーズや欲求に満ちた生活を送る人間として理解することが必要です。少なくとも年に一度、自社の製品やサービスが顧客のニーズを解決しているかどうかを再検証する企業は、その頻度が低い同業他社と比較して、2020年から2022年の間に24%高い収益成長率を実現しています。成長し続ける企業は、ビッグデータ分析、ソーシャルリスニング、生体情報による効果測定などの技術を活用し、競合他社よりも環境、経済、社会システムといったより大きな文脈の中におけるはるかに豊かな顧客像を持っています。
生成AIで優れた成果を迅速に実現
みんなの銀行は従来の銀行のあり方を再定義し、デジタル・バンキング・サービスをクラウド上に構築しました。取り組みのすべては人々の日常生活に溶け込むようにデザインされ、「変化する顧客の行動と共に進化する」というコミットメントに導かれていました。
成長し続ける企業は実験と顧客との共創を通じて、顧客のニーズに合わせて製品を適応させていきます。ここで重要なのがスピードです。顧客と共創しながら迅速に実験を行う企業は、収益成長率で同業他社を上回る可能性が2倍あります。これらの企業はまた、自身のアセットを新たな方法で活用し、顧客により多くの価値を生み出すことで、変化するニーズに応えています。
生成AIで優れた成果を迅速に実現
製品やサービスが優れているだけでは不十分です。購入してから提供されるまでの全てのタッチポイントでの体験もまた、素晴らしいものでなければなりません。成長し続ける企業は、社内の複雑さを取り除くことで社外の複雑さを解決します。組織のサイロ化を解消し、階層をフラットに意思決定を民主化することで、従業員が顧客の問題解決のために迅速に動けるようにするのです。顧客にとって何が最善であるかに真摯に向き合い、共感によって導かれた顧客のための機能を積極的に取り入れた企業では、新規リソースによる収益成長が39%向上しました。
生成AIで優れた成果を迅速に実現
新製品の開発プロセスに共感とインクルージョンを素早く導入する67%の企業は、顧客満足度において他社を上回っています。
成長し続ける企業は、積極的に成長を追求できるよう組織を構築しています。成長戦略と投資に関する専門性を持ち、意思決定と合理化の助言をする経営委員会の設置などを通して新しい製品やサービスを拡張する際のリスクを最小化すると同時に、レガシー製品が変化する人々のニーズに対応できているかの検証を行い、その製品寿命を頻繁に評価しています。旧製品の早期廃止に注力するようになった企業は、新規収益および拡大収益が19%向上したことが分かりました。
生成AIで優れた成果を迅速に実現
容赦ないスピードで変化する今日の世界はまた、企業が未来に向けて自らの組織のスピードを高めれば掴めるチャンスにも満ちています。勝者になるのは、成長し続けるための可能性を活かせる企業です。より良いものを作るために、人間と機械が一緒になって考え、実行し、適応する。顧客を人間として捉え、変化するニーズに応え、シンプルで快適な体験を実現し、成長のために拡張する。そして絶え間ない再創造を通じて、新たな企業価値創出の道筋を探求するための基盤を手にするのです。
そこで、すべての経営幹部が自らに緊急に問わなければならないのは次の質問です。「自社は価値提供のために必要な組織改革を徹底的かつ革新的な方法で行う準備ができているか?」答えが「Yes」であれば、成長し続ける企業への第一歩をすでに踏み出しています。