この理想と現実の差は何に起因するのでしょうか? LCNCによる「分散型イノベーション」の実現において、運用モデルと運用能力の整合が不可欠にも拘わらず、双方のバランスが取れていないためだと考えられます。
アジャイル開発やDevOpsの手法を用いたとしても、すべての企業がソフトウェアの開発ライフサイクルを高速化できるわけではありません。LCNCには従来のアプローチをはるかに上回るデリバリースピードを実現する可能性が潜在していますが、アジャイル開発やDevOpsを通じた変革を実現できていない企業には、LCNCにおいても同じ結果に陥ってしまうリスクがあります。
スキルギャップを埋める
LCNCは、従来のスキルギャップを解消し、これまでCIOを悩ませてきたスキルギャップに起因するプロジェクトの遅延を解決する上での鍵となるものであり、すべての企業がいち早く導入すべきソリューションの1つです。
IT人材、スキルの慢性的な不足は今後、世界規模の深刻な問題になることが予想されます。その結果、ビジネス上の重要な課題を解決することができず、2025年までに毎年3,900億ドルの損失が生じるとみられています1。LCNCの導入に合わせて運用モデルを見直し、そのメリットを最大限に活用できる企業は、この損失を回避することができるとアクセンチュアは考えています。
バランスを重視したデザイン
LCNCの運用モデルを策定するに当たっての第一の原則は、標準化とアジリティ、イノベーションとコントロール、デジタルスキルの開発と効率性という異なる領域間の境界線を明確にすることです。
LCNCのセキュリティ
イノベーションの迅速な実現は顧客にとって大きなメリットですが、その過程においてデータプライバシーやセキュリティの不備、コンプライアンス上の問題点、意図しない情報漏洩などがあれば、顧客からの評価が得られないことは言うまでもありません。LCNCの導入・運用において、シチズンデベロッパーとCIOが率いるITチームのコ・イノベーションが不可欠である理由もここにあります。
アクセンチュアの調査でも、CIOはLCNCの導入における最大の懸念事項としてセキュリティを挙げており、全体の40%がデータハッキングの脅威を指摘しています。企業はビジネスとデータの安全性を確実に担保しながら、創造性の向上やイノベーションの実現、市場投入時間の短縮といったLCNCがもたらすメリットを享受する方法を模索していかなければなりません。