事例2:Raspberry Pi・スマートフォン
エッジコンピューティングとしてのRaspberry Piやスマートフォンは広く様々な用途で使用される代表的なスマートプロダクトです。スマートプロダクトの開発効率性や機能拡張性を大幅に向上するため、広く普及したプラットフォーム/OSS(オープンソースソフトウェア)が使用されることも少なくありません。それらに使われるWindowsやLinux、Android、その他汎用的なソフトウェアの脆弱性を入り口に、病院や学校、研究機関など様々な重要システムへ不正アクセスがされた事例が多数報告されています。
攻撃内容と対策への考察
ある研究機関で発生した、Raspberry Piを起因(攻撃経路)とする不正アクセスを事例として、その特性と対策を考察します。
悪意のある攻撃者は、Raspberry Piが持つ、USB、SD、Wi-Fi、Bluetoothといった汎用的なインターフェースの脆弱性を突いて攻撃することが出来ます。セキュリティ対策がされていないRaspberry PiのUSBメモリやSDカード経由でマルウェアを自動で読み込ませることにより、システムが乗っ取られる可能があります。
事例では、セキュリティ対策がされていないRaspberry Piが乗っ取られ、さらにその先の研究機関システムの不正アクセスが発生しました。
スマートプロダクトは多くの汎用インターフェースを持つため、それらの脆弱性はセキュリティアップデートで常に最新の対策を施す必要があります。しかし5年や10年など製品寿命が長いスマートプロダクトについては、リリース当時のハードウェアリソースの中で適用できる、各システムに対する継続的かつ仕組み化されたセキュリティアップデートの構築・維持が必要です。ソフトウェア企業やオープンソースコミュニティなどに脆弱性管理や対策スキームといった運用面の仕組みがあるかを考慮する必要があります。
ソフトウェアアップデートの適用および運用スキームの構築