仲田 振り返れば20年前、データに基づくシミュレーションで事業モデルをデザインしているアメリカ企業の手法を知って衝撃を受けました。昨今は、店頭に商品を並べれば売れる時代ではありません。売上向上と利益率改善を進めるために、日本企業には「ビジネスの仕組み」の根本からの転換を提唱しています。
たとえば衣類や服飾品は、購入決断のために試着が重要なプロセスです。試着には商品の現物が必要ですし、店員や買い物に同行する友人といった「背中を押してくれる人の一言」の重要性は今なお不変です。だからこそ、「ECで注文し、店舗で試着し、購入後は自宅に配送される」などの新しい購入体験の設計が重要だと思います。
加藤 パンデミック前にニューヨークを視察した際に、私も日米の差を感じました。オンラインからスタートしたD2Cプレイヤーがリアルの店舗も展開し、これまでの小売業とは異なる顧客体験起点でのビジネス展開を行っていました。リアル店舗の位置づけも従来とは異なり、例えばユーザーは予め店舗訪問を予約し、自ら選んだ服の試着を店頭で行う。オンラインで選び、店舗で確認、決済はオンライン。また、リアル店舗でも商品を普通に並べるだけでなくそれらの製品を活用するシーンを想定した空間をつくり、実際の体験をさせ購買意欲を高めて、決済はオンライン。そういった顧客体験起点の発想やそこにテクノロジーを有効に活用するという考え方は進んでいると感じました。
仲田 たしかに欧米企業の経営層には「割り切って考える、思い切りの良さ」を感じます。Salesforce製品の使い方においても、日本企業にぜひ取り入れて欲しい大胆な合理化がみられます。市場をリードするような新しい取り組みへのトライアル&エラーが、日本でもより必要だと考えています。
たとえば、日本の人口の3分の1を占める中高年層へアプローチするには、単にスマホアプリをリリースするだけでは不十分です。TV通販に慣れた世代をいかにしてデジタルシフトしていくか。まったく新しい発想による環境整備、インフラ設計、タッチポイント作りが今後のビジネスの成否を分けると考えています。
加藤 そのうえで、アクセンチュア インタラクティブがビジネットに期待している第2のポイントがECにおける業務知識です。ECサイト構築だけでなく受注管理やフルフィルメント、カスタマーサポートなどECを運営していく上で必要な業務を熟知していると考えています。
仲田 ビジネットでは、お客様企業とのWin-Winの関係を最優先事項に掲げています。お客様の成長が私たちの成長、お客様の成功が私たちの成功という価値観です。つまり、お客様のビジネス発展へのコミットメントが我々のコアにあります。これまでビジネットが特定ベンダーの配下となったことはなく、お客様と直接のプロジェクトが主体です。それによるダイレクトな貢献を強みとしてきました。
同時に、ビジネットにおいてはエンジニアを中心とする社員とのWin-Winも経営コンセプトの1つです。報酬、職場環境、新しいチャレンジができる仕事の創出を明示しており、この価値観はアクセンチュア
インタラクティブへの参画後も変わりません。今後は、コマースに閉じず関連領域へと仕事の幅が広がる可能性やキャリアの選択肢も増えると期待しています。
加藤 私は、元々IMJに在籍しており、2016年のアクセンチュアグループ入りのタイミングでアクセンチュア
インタラクティブに参画しています。アクセンチュアとIMJの融合の中で感じたのはアクセンチュアの異なるケイパビリティを理解し、尊重する企業文化です。IMJもアクセンチュアグループ参画当初はうまくシナジーを創出できるか不安と期待の入り混じった状態でしたが、協働プロジェクトで成功体験を共有していくことで組織文化の融合や仕事のシナジーを生み出していけました。
ビジネットとも、そうして相互理解を深めながらシナジー創出を実現していきたいと考えています。それが結果的にお客様企業への大きな付加価値のご提供につながります。
仲田 ビジネット所属のエンジニアが培ってきた専門性は高く、ビジネットの財産です。協業を通じてOMO(Online Merges with
Offline/オンラインとオフラインの融合)の仕組みをより磨き上げ、日本のアパレル企業がファッションの最先端として輝けるようご支援していきます。また、アクセンチュア
インタラクティブとの協業でアパレル以外の企業の支援も強化していきたいと考えています。
お客様には、アクセンチュア
インタラクティブとの協働で実現する大きな価値にご期待いただきたいと考えています。
加藤 コミットメントや協働、コラボレーションで価値創出を目指すビジネットの文化も、アクセンチュアとの共通点だと思います。今後、ビジネットのメンバーと共にプロジェクトを推進していく体制が構築されますし、なによりアクセンチュアやIMJのメンバーもビジネットからコマース領域の知識や経験を学んでいきたいと思います。
マーケティング × コマース ×
サービスの一体的な連携による途切れないバリューチェーンの実現と、顧客体験を起点とするシームレス・カスタマーエクスペリエンスの実現を目指していきます。