2021年に金融庁が公表した「モデル・リスク管理に関する原則」を機に、本邦でもAML分野におけるモデルリスク管理のあり方について関心が高まっている。モデルリスク管理の態勢整備では、規程作成等のフレームワークの整理に重きが置かれる傾向にあるが、本質的には実務への落とし込みが重要である。特に取引モニタリングシステム(TMS)では、膨大かつ複雑なデータ検証作業が求められるため、有効性検証のプロセスを明確に定義する必要がある。本稿では、先行する海外規制の動向を考慮しつつ、TMSにおける有効性と効率性を両立するためのモデルリスク管理のあるべき姿を論じる。