ここまで企業がデータ活用に取り組む際に陥りがちなパターンに対してDDCが提供できる価値を紹介してきましたが、ここでは国内大手化学・素材メーカー(以下A社)におけるデータ活用プロジェクトの例を紹介します。
A社工場では樹脂加工製品を生産していましたが、あるラインの特定の加工プロセスで設備の稼働率が不定期に悪くなる、という問題を抱えていました。その結果として高頻度で設備のメンテナンスを行うという対症的かつ非効率なメンテナンスが常態化し、設備稼働率の向上と高止まりした保全費削減が喫緊の課題でした。弊社はA社とともに、グローバル先進事例も参考とすることで、設備稼働状況・保全履歴といったデータから90%以上の精度での故障時期予測ができれば、適切なメンテナンスのタイミングを検知し、それらの課題を解決するオペレーションを実現できるのではないか、という仮説を構築し、データ活用による保全高度化に向けたPoCプロジェクトを立上げました。
なお、プロジェクト立上げに際しては、デジタル変革プロジェクトのキーテーマとしてCXOクラスにも啓蒙を行い、センサー活用による将来のデジタルPlant構想への第一歩という位置づけで企画化しました。予算・体制と役割分担(本社、現地工場の製造責任者~現場担当、弊社メンバ)とさらに将来の展開プラン、PoC評価のKPI(今回は予測精度)までを設計して開始しました。
PoCにて現場担当者から管理者レベルまで幅広くコミュニケーションを重ねる中で、効率よく分析モデルの検証と改善を繰り返した結果、1)追加データの必要性を見極め、2)センサー設置で追加データを取得することで、新たな故障因子の発見と、3)90%を超える精度で故障予測可能なモデルを僅か3か月で構築し、当初のKPIを達成しました。現在は、グローバル展開を見据えた実際のビジネス効果刈取りに向けた展開フェーズに入っています。