2021年に入り、本邦証券会社各社・信託銀行各社による分散型台帳技術を用いたデジタル証券(STO)ビジネスへの取り組みが活発化している。既に社債型STOや受益証券発行信託型STOなど、いくつかの発行事例も出てきており、来年以降の本格始動に期待が集まる。
こうした動きの背景には、これまでデジタル証券ビジネス発展の阻害要因であった幾つかの課題に解決の糸口が見え始めたことが挙げられる。証券会社や信託銀行のみならず、異業種の参入も見込まれる中、STOビジネスの幕開けは近いと考えられる。
本稿では、デジタル証券ビジネスを支える技術面の特徴や、デジタル証券ビジネスを取り巻くステージ変遷を整理の上、同ビジネスが向かうであろう方向性と、更なる発展に必要となるいくつかの課題について考察した。