調査レポート
CFO Forward 2024
ディスラプション(創造的破壊)を価値創造に変える
5分(読了目安時間)
2024/04/26
調査レポート
ディスラプション(創造的破壊)を価値創造に変える
5分(読了目安時間)
2024/04/26
調査によれば、CFOの約8割は将来的にディスラプションが加速すると予測しています。この見通しは主に、テクノロジーの進展、消費者嗜好の変化、新たな競争相手の出現、および資本コストの上昇によるものです。これらの要因を背景に、市場の混乱が現状を上回ると見込んでいるCFOは全体の1割以上に上ります。
テクノロジー領域におけるディスラプションの変革の鍵となるのが生成AIです。幸いなことに、生成AIは大規模な価値創造を可能にします。
「技術発展の急速な進化により、私たちは、大きな変革の10年に突入しようとしています。」
Michael McMurray氏 / ライオンデルバセル社、エグゼクティブバイスプレジデント兼最高財務責任者
アクセンチュアの「Pulse of Change Index」によると、事業に影響を与える変化の度合いは、過去4年間で急上昇しており、その上昇度合いは183%に達します。 この状況に対応するため、多くの企業が大胆な行動に乗り出しており、最新の調査結果では、83%の企業が成功のために再創造を戦略として加速していると回答しています。
このような状況下でCFOは、組織が変革と再創造の取り組みから価値を引き出せるよう支援する責任とプレッシャーを感じています。CFO Forwardの調査によると、回答者の86%が、変革のスピードが以前よりも速く、あるいは大幅に速くなったと回答しています。
一方で、変革に対するCFOの野心は、直面しているディスラプションに見合っていないことが明らかになりました。過半数(74%)のCFOは「現在」に焦点を当て、「業界最高」のパフォーマンス目標をベンチマークとして設定しており、高いレベルの変革の野心を持つCFOはわずか11%に過ぎません。しかし、ディスラプションのレベルに見合った変革の野心を掲げている企業は、改革から価値を創造する上で有利な立場にあります。
企業の再創造に対して野心的なCFOは、価値創造に注力しています。野心的なCFOの81%は、達成したい価値を明確にして変革に着手しています。この割合は、野心が低いまたは中程度のCFOの約2倍です(下記参照)。
再創造に向けて野心的なCFOは、価値の創造に注力しています
CFOが主導する変革は、どの程度達成すべき価値に明確な焦点を当てて実施されたでしょうか?
変革の初期段階で価値創造に注力している組織は、成果を達成する可能性が2倍高くなります。価値創造は依然として難しいですが、明確な価値に焦点を当てて変革を始めることは、実現への近道です。
「価値創造に焦点を当てることが核心であり、価値創造に向け自社をどのように位置付けるかを担うのが、CFO部門である」
Rui Barbas氏 / ネスレ 北米担当最高財務責任者
ディスラプションから価値創造を目指すCFOは、次の4つのことを行う必要があります。
調査によれば、変革において明確な価値創造を目指す「ノーススター戦略」を採用するCFOは、より大きな価値を引き出し、創出することが可能であることが明らかになりました。この結果は、継続的な再創造に注力する企業が同業他社を凌駕していることを示しており、再創造企業に関する調査結果とも一致しています。これらの“再創造企業”と呼ばれる先進企業は、2019年から2022年の間に他の調査対象企業よりも15%ポイント多い収益を上げており、同期間の平均利益率(EBITDA/売上高)は他社より5.6ポイント高かったのです。価値創造を重視し、改革を加速させることはすべてのCFOにとって必須の課題です。
生成AIは真に革命的であり、バリューチェーン全体にユニークで前例のない影響をもたらします。ユーザーは情報や洞察をシームレスかつ一貫した方法で作成、集約、統合することができるようになります。
そのため、82%の組織が生成AIを変革の主要手段と捉えていることは驚くことではありません。また、CFO Forward Studyの回答者の83%が、現在または今後24か月以内に、生成AIと基盤モデル(テキストからの画像生成、大規模言語モデルなど)を優先事項と見なしていることも当然のことでしょう。
しかし、多くのCFOは、生成AIを機会として活かすための初期段階にあります。
先見の明のあるCFOが、財務とビジネスをサポートする生成AIの可能性をつかむ機会はたくさんあります。鍵となるのは、組織がデジタルコアをどのように活用し、生成AIの力を活用するかです。
調査によると、テクノロジー、データ、人材を複合的に活用し最適化した企業は収益性と収益成長の究極の原動力であるトップラインの生産性(従業員一人当たりの売上高)が最大11%向上しています。これらは、財務および非財務の成果を改善するための主要なアクセラレーターなのです。しかし、この3つを組み合わせ、価値創造ができているグローバル企業はわずか5%です。
価値を提供する上での最大の障壁があります(下記参照)。
価値創造おける障壁
変革を主導する際、価値創造するために克服すべき主要な障壁や課題は何ですか?
調査によると、価値創造に注力するCFOは、これらの障壁を乗り越えながら変革を進めています。アクセンチュアがお客様との仕事を通じて得た洞察によると、CFOはデジタルコアの構築や組織全体でのデータ連携の重要性を認識しています。しかし、それ以上に企業文化の形成とコラボレーションを促進するために、コミュニケーションと変革管理に多大な努力を注いでいることが分かりました。
CFO主導の改革は、CFOが機能的なサイロから脱却して初めて成功します。幸いなことに、CFOの72%が、自らが主導する変革が3つ以上の異なる部門に影響を与えると回答しており、自部門に留まらない幅広い視点が定着しています。この部門横断的な価値を生み出すために重要なのは、協力的なマインドセットです。強力な協調型リーダーシップスタイルを持つCFOは、同業他社に比べて組織目標を達成する可能性が2倍高いことも明らかになりました。
この考え方は、CEOとCFOの強力なパートナーシップの構築にも拡張する必要があります。これは、組織の価値創造目標と変革アジェンダに不可欠です。
企業はエコシステムパートナーとの境界のない提携や、相互利益のための協力を構築する必要があります。CFOは、自社とエコシステムパートナーとの連携を制度化することで、重要な役割を果たせます。
CFOは、今後2年間で加速するディスラプションとボラティリティがもたらす課題と影響に備えるにあたり、以下の現実を踏まえる必要があります。
テクノロジーはディスラプションの最大の要因であり、価値創造の最も重要な推進力です。統合されたデジタルコアを構築することは、新たなパフォーマンスのフロンティアに変えるために不可欠です。
CFOや企業は、改革を始める際に強い野心を持ち、より多くのビジネス価値を提供します。予言の自己成就は、今後数年間の混乱したビジネス環境での課題を乗り切るための北極星となるでしょう。
価値を重視するCFOは、意思決定や選択の多さに麻痺していると感じる可能性が33%低くなっています。価値創造に重点を置くことで、CFOと経営幹部は相反する目標や優先事項に取り組むことができます。
企業は、生成AIを含む人材とテクノロジーの能力と強みを活用することで、新たなパフォーマンスのフロンティアに参入できます。この協力体制を重視する企業は、プロセス、オペレーション、ビジネスモデルを変革し、競合他社をリードしつつ急成長を遂げ、企業全体のイノベーションを推進し、持続可能な収益源を構築することができます。
97%
のCFOは、AIや生成AIの普及により、自分の役割や仕事の進め方に対する期待が変わると予想しています。
81%
のCFOが、トランスフォーメーションに強い意欲を持ち、達成したい価値に明確に焦点を当てることからトランスフォーメーションに着手しています。
79%
の価値を重視する割合が低い、または中程度であるCFOは、トランスフォーメーションの取り組みによって生み出される価値は、多くの場合、圧倒的なものではないと考えています。
76%
のCFOが、5種類以上のビジネス価値を生み出すことを期待しています。
72%
のCFOが、FP&Aアプリケーションが価値提供に最も重要な役割を果たしていると述べています。
54%
のCFOが現在、2つ以上の変革を主導している、または主導しようとしています。