新たな開発プロセスを支えるソフトウエア人材の育成
欧州や中国のOEM、サプライヤーがこうした領域で強みを発揮している背景のひとつとして、特にEV専業の新興企業はプロセスが固定化されたウォーターフォール型の開発とは無縁であり、最も効率的なソフトウエアの開発体制をゼロベースで構築できるアドバンテージがあります。逆にレガシーな手法から脱却できない企業は、次世代の手法への移行に苦戦しており、ソフトウエアの開発能力、インテグレーション能力、オーケストレーション能力を社内で構築することができていません。ソフトウエアエンジニアを社内で育成しようとしても、メカニカルなエンジニアをソフトウエアエンジニアに育成することは容易ではなく、スケールもできないからです。
こうした課題に対して、豊富なソフトウェアエンジニアを擁する外部パートナー企業を活用する手法があります。ミドルウェア、OS、アプリケーションのレイヤー、また膨大なデータを扱うコネクティビティの領域では、当然のようにクラウドインフラの構築や連携が必要になります。これらをエンドツーエンドで支援できる体制は、次世代の競争を勝ち抜くためのイノベーションを目指すOEM、サプライヤーにとって、新たな価値創出を支える貴重なリソースとなるはずです。アクセンチュアはインド、中国などの拠点に豊富なソフトウエアエンジニアを擁し、デリバリーセンターを通じた広範な支援体制を整えています。
EV化をトリガーとした新たなイノベーションの創出
現在の自動車産業は、サステナビリティの観点からもEV化が避けられない状況にあります。企業の社会的な責任を踏まえた経営とイノベーションの両立は、多くのステークホルダーからの評価を支える新たな価値指標として、これからますます重視されていくことになります。自動車産業においてもCO2の排出量削減に向けたEV化がトリガーとなって、今後も新たなプレイヤーが業界に参入し、さまざまなイノベーションが生まれるはずです。このことは、二輪自動車やその他の産業機械の世界においても同様に当てはまります。
まさに世界の産業界は業界を横断した新たな変革期を迎えており、今後企業経営は、財務面での価値創出にとどまらず、新たな体験の提供、サステナビリティ、人材のリスキリング、コミュニティ、インクルージョン&ダイバーシティといった全方位的な視点で企業経営をしていく必要に迫られています。アクセンチュアでは企業経営における全方位的な価値(360°バリュー)の創出を支援しています。
新たなコアバリューとしてHMIの開発に注目が集まる自動車産業の現状は、いわば広く製造業の未来に関わる多くの課題の先例といえます。アクセンチュアでは、今顕在化している課題のみならず、潜在的な課題やニーズを多くのお客様と共有しながら、今後もさまざまなイノベーションの支援と価値創出に取り組んでいきたいと考えています。