IPOを目前に控えていたあるテクノロジー系のユニコーン企業は、自社内に蓄積された膨大なデータの精度の課題から、経営幹部が明確な根拠に基づく業績評価を下すことができないという状況に陥っていました。同社はグローバル市場における急速な成長の過程で、社内データシステムを拡張してきました。しかし、これが部門や部署間のシステムのサイロ化につながり、一元的なデータガバナンスのプロセスやデータアーキテクチャが失われ、以下のような問題が発生しました。
- マネジメントレポート作成に数百時間を要する
- クエリ(分析構文)のパフォーマンスが予測できない/非効率的である
- インタラクティブ/アドホック分析に膨大な時間を要する
- SOX法に対応した管理、コンプライアンス維持が困難
- アーキテクチャに柔軟性がなく、事業発展に合わせた拡張が難しい
データモデルのガバナンスがそれほど厳格ではなかった同社では、主要なメトリクスを誰でも作成/再定義することができました。しかし、このことは標準的なビジネス定義の順守状況をはじめ、メトリクスの経年変化、処理の効率性/精度といったポイントを正確に追跡するための監査証跡の欠如を招くこととなりました。同社は最小限の手作業によって業績を確実に管理・レポートすることの重要性は認識していたものの、そのためにはデータのクリーニングをはじめ、メトリクス承認、反復可能なプロセスの確立、拡張性に優れたアーキテクチャ構築が不可欠でした。
同社のデータアーキテクチャの変革に向け、まずアクセンチュアは優先度が高く、現段階でデータ精度が不十分な20項目のメトリクスの評価を行いました。また事前準備として、データ定義と主要なデータソースも確定しました。データソースについては、いくつかのオプション(Oracle、Vertica、RedShift、Snowflake)について、複数のステークホルダーと協議を重ね、その結果を擦り合わせた上で、最終決定を行いました。こうした機会は、新たなデータアーキテクチャの設計、実装といったプロジェクトにおいて大きな意味を持ちます。
アクセンチュアの支援を通じて、As a Serviceとして提供されるリレーショナルデータベース型のデータウェアハウス「Snowflake」でデータパイプラインを再構築し、さらに確固としたデータガバナンスを確立しました。状況に応じて自動的なスケールアップ/ダウンが可能なSnowflakeは、パフォーマンスの柔軟性の点で高い評価を受けています。
SnowflakeとBIツールとして知られるTableauを組み合わせたこの新たなデータ分析ダッシュボードによって、ビジネスユーザーはほぼリアルタイムでインサイトを獲得することができるようになりました。また、自社のメトリクスの信頼性が大きく向上した他、データを直感的かつ容易に掘り下げて、新たなインサイトも迅速に導き出すことができるようになりました。こうして同社は、新たな成長を支えるにふさわしい、柔軟性に優れた未来志向のデータアーキテクチャを構築することに成功しました。