各部署との連携を強固にした協力体制がプロジェクトを成功に導く
また、学内では初のアジャイル開発にも拘わらず、この短期間での開発・運用を実現した背景には、ワンチームの体制で推進できたことが大きな要因だと考えます。
「限られた時間で開発を進めるには、アクセンチュアに対してアプリ開発で必要となる情報を正確に伝えなければいけません。また、各部署を連携させながら学生の意見を取り入れるのは苦労するのではないかと心配していました。しかし、各部署とアクセンチュアがワンチームとなり、機動的に動いてくれました。」(寺田常務理事)
学生を第一に考えたワンチームの体制は実際の開発現場でも発揮されました。
「学生本位のアプリを開発するには、学生のことを良く知り、学生のことを良く考える必要があります。学内のあらゆる情報を収集するために、各部署から参加するワーキングチームのメンバーと率直に意見を交わしあったり、200名を超える学生、教職員へのヒアリングを重ねたりしましたが、こうした学生、教員、職員の三位一体の流れを一つひとつ繋げていく過程でアクセンチュアがパートナーとして強い味方になりました。また、開発が始まった当初にメンバーの間で『このまま進めて本当に学生本位になる答えが導き出せるのか』という疑問が挙がり、壁にぶつかったことがありましたが、アクセンチュアと本音で徹底的に議論を重ね、手法をイチから考え直して大胆に方向性を切り替える具体的な提案をしあったことは、とくに象徴的な出来事として覚えています。こうしたマインドと技術の重なりあう営みが短期間で繰り返し行われることで、学内の部署の垣根や上下関係を乗り越えて、学生のために連携しあう貴重な経験を得たと捉えています。」(新山課長)
大学における教育DX推進の代表的ケースに
東洋大学との協力体制がプロジェクトを成功に導いたとアクセンチュアでも考えています。アクセンチュアの東野 由起子(ビジネス コンサルティング本部 テクノロジーストラテジー&アドバイザリーグループ テクノロジー戦略 プラクティス マネジング・ディレクター)は次のように振り返ります。
「東洋大学の方々が本当に学生のためを思い、解決すべき課題を本音でぶつけてくださいました。当社も含むワーキングチームのメンバー全員が常にフラットな状態でプロジェクトを回せたところに成功要因があったと思います」(東野)
また、佐藤 卓也(テクノロジー コンサルティング本部 ITソリューション Mobile App Studio日本統括 アソシエイト・ディレクター)は、東洋大学のコミットメントと強い思いがあったからこそ、プロジェクトを成功裏に進めることができたと言います。
「私は開発プロジェクトがスタートする1カ月前に合流したのですが、その時点では決まっていないことも多くスケジュール通りに進めることは難しいと感じていました。しかし寺田常務理事や新山課長と話すなかで、この方々と一緒にプロジェクトを進めれば成功するだろうと考えを改めました。寺田常務理事から『問題があればその場でジャッジしてほしい。すべては私が責任をとる』と仰っていただいたことは心強かったです」(佐藤)
もちろん、そうした思いだけで成功に結びつくとは限りません。推進メンバー間で共通の認識を持つことができるかも重要となります。三田 絵美子(テクノロジー コンサルティング本部 シニアマネジャー)は、そうした観点からも今回のプロジェクトは「学生主体で進める」「失敗を恐れずに挑戦する」といった指針が掲げられ、マインドが共有できたと言います。
「ワーキングチームに関わるメンバーが多かったにもかかわらず、プロジェクトが予定通り進んだのは、みんなが共通の認識を持てる土壌が醸成されていたことが大きな理由のひとつだと考えています。実際の開発時にはステークホルダーとの調整や技術面のハードルなど多くの課題が発生しましたが、メンバー全員で知恵を出し合い迅速に解決ができました」(三田)