近年、AIが誤った結果を出力することによる人権侵害や消費者の機会損失がリスクとしてクローズアップされ、規制が進む欧米では経営リスクとして認知されつつあります。そこで「人間中心の生きがい追求」と「持続的な社会の実現」を目指すコニカミノルタでは、人間中心のよりよい社会を実現するため、製品・サービスにおけるAIの適切な利活用だけでなく、コニカミノルタグループ内の研究開発・生産・販売等にもAIを適切に利活用することを目的として、『コニカミノルタグループ AIの利活用に関する基本方針』で以下の6方針を規定しました:
- 人々が生きがいを感じられる社会の実現
- 安全/安心の確保
- 公平性の尊重
- 透明性の追求と説明責任
- ステークホルダーとの共創
- 人財の育成
AIの適正な開発・利活用を推進するためには、AIがこの基本方針に準拠しているかをチェックする必要があります。これは従来の品質保証等の枠組みに加えて、AIの公平性や透明性についての新たな確認、それらのチェックを実施できる人財、その人財が必要なスキル・知識を身につけられる社内研修戦略が必要であることを意味します。
コニカミノルタでは、上記6方針に対する具体的なアセスメントチェックリストを策定していましたが、以下のような課題があり、アクセンチュアの「責任あるAI」に関する知見を活用したいと考えました。
- アセスメント実施の際に生じる、チェックリストの抜け・漏れ・曖昧性への懸念
- 実際の評価実施者とビジネスケースを想定したうえで、現実的かつ必要な評価基準になっているかどうかが不明瞭
- アセスメント・審査に必要なスキル習得へ向けた研修による人財育成が急務
プロジェクトを推進したコニカミノルタ株式会社 技術開発本部 技術戦略統括部長 平山博士氏は次のように説明します。
「基本方針の実践プロセスを構築するために、社内全部門へ個別にヒアリングを重ねました。すると、『分かりやすいユースケースが欲しい』『効率的に運用したい』『リスクマネジメント等との重複を避けたい』など、様々な要望や課題があることが分かりました。そこで、AI倫理に関する最新のグローバル動向を把握し、外部目線で客観的にサポートできるアクセンチュアに支援を依頼することに決めました。」
また、コニカミノルタ株式会社 技術開発本部 技術戦略統括部 技術企画部 技術ガバナンスグループ マネジャー 石田哲也氏は次のように述べます。
「コニカミノルタでは、AI利活用において目指すべき基本方針を策定したあと、従業員一人ひとりが理解・納得し、それらを実行可能な施策に落とし込む必要がありました。そのようななか、アクセンチュアから豊富な知見にもとづいて当社の状況に合わせたアプローチを提案いただき、しっかりと伴走してもらえる手応えを感じました。」