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ブログ

ITIL4の基本 図解と実践 - サービスマネジメントのベストプラクティス

所要時間:約5分

2022/10/28

テクノロジーコンサルティング本部インテリジェント・クラウド・イネーブラー・グループに所属しているプリンシパル・ディレクターの中 寛之です。サービスマネジメントを中心としたコンサルティングに従事しています。

サービスマネジメントの世界では長らくITIL®というフレームワークが用いられています。かつてはIT Infrastructure Libraryの略称とされていましたが、2019年にリリースされたバージョンから略称が正式名称となり、「ITIL4」と呼ばれています。
※ITIL®はAXELOS Limitedの登録商標

この度、『ITIL4の基本 図解と実践』(日経BP社刊)が出版されることになりました。
かつての「ITIL」は主に運用管理を対象にしていましたが、最新版「ITIL 4」では、サービスとして提供されるITシステムの企画・計画・開発・運用のすべてをスコープとしています。本書には、ITILのベストプラクティスに加えてアクセンチュア独自の手法も加わっています。DXを踏まえた内容になっており、今現在の課題解決にベストのフレームワークです。DXに関わる方、ITシステムに関わる方、必読の1冊です。

ITILv3の理解ではDX時代を乗り切れない

ここ数年、ITの世界はDX(Digital Transformation)という変化に晒されています。DXとは、社会に貢献することを通じて、企業価値を向上させるために行う企業活動全体の変革を意味します。今までのITとは異なり、DX時代のITは、ビジネスとテクノロジーの一体化をスタート地点として新たな企業のコアを創造することが求められています。

長らく活用されてきた「ITILv3」は「ITがビジネスを支える」ための役割を果たすものと位置付けていました。この立ち位置ではビジネスとテクノロジーの一体化を実現するのに十分ではありません。ビジネス側とテクノロジー側が対等な立場で新たなサービスの実現に取り組む仕組みがあってこそ、DXの概念を具体化することができます。「ITIL4」では「ITはビジネスと共にある」というテーマで34のプラクティスの活用方法を、サービス・バリューシステム(SVS)とサービス・バリューチェーン(SVC)というコンセプトのもとで示しており、DX自体が主要なテーマとして扱われています。

IT Operating Model for ITIL4を活用する

ITIL4で定義する34プラクティスを捉えやすくするためにアクセンチュアが推奨するのは、サービスライフサイクルにあてはめて整理する方法です。「サービス戦略」→「サービス開発」→「サービス運用」の流れで表し、顧客やサービスパートナーとの接点として「顧客・エコシステム」、それら全体の流れを包むようにIT部門の組織運営として「管理」を配して、そこにITIL4の34プラクティスを5領域15カテゴリーに分類します。これを「IT オペレーティングモデル for ITIL4」と本書では呼んでいます。

本書では15カテゴリーの単位でプラクティスの相関図を収録しています。例えば、サービス運用カテゴリーには「モニタリングおよびイベント管理」「サービスデスク」「インシデント管理」「サービス要求管理」の4プラクティスがあり、それらに関係する他のプラクティスを列挙して関係性を示すと、以下図のようになります。

プラクティスの関係性を図解すると、直感的に業務の全体図を捉えることができます。本書を手元に置いて、これら相関図を早見表のように活用すると、サービスマネジメントの全体像を捉えながら業務設計しやすくなるでしょう。

DX時代のサービスマネジメントを実現する助けとして、本書を活用ください。

【ITIL4公認】ITIL 4の基本 図解と実践
https://www.amazon.co.jp/dp/429611252X

書籍目次

第1部 概論
1章 なぜITIL4なのか?
2章 ITIL4のコンセプト

第2部 図解編
3章 サービスマネジメントプラクティス
4章 一般的マネジメントプラクティス
5章 技術的マネジメントプラクティス

第3部 実践編
6章 ITIL4による改善アプローチ
7章 ITIL4によるサービスマネジメントSRE

第4部 補足
8章 ITILの歴史
9章 他のフレームワークとの関係
10章 ITIL4の資格

また、ITIL4に関しては以下にも関連記事がありますので、ご参照ください。

筆者