人間らしさ：共感に基づくサービス提供

対面、デジタルなどの手段に関係なく、市民により優れた公共サービス体験を提供するために、公共機関は「人間らしさを尊重すること」をあらゆる活動において基本とすべきです。

アクセンチュアの調査では、公共サービスを利用する人々のおよそ3人に1人が、「公共機関では自分が人間ではなく数字として扱われているように感じる」と回答しています。これは、公共機関がサービスを届ける対象である市民とどのように向き合うべきかについて、再考を促す警鐘とも言えるでしょう。公共機関がライフ起点の戦略により、「人生に最善を尽くす自分自身」に対するのと同じように、市民に接することができます。

人々は依然として「自分が認識されている」という実感のもとに他者と交流することができる対面式の価値を重視しています。この価値は特に、人々が情報を求めているときに高まる傾向があります（図1）。一方で、公共サービス機関から情報を受け取るときには手紙、電子メール、ウェブサイト、冊子などによる人間を介さない手段が好まれる傾向が見られます（図2）。これらの傾向は、公共サービスにおいてデジタル化すべき接点と、職員が対応すべき接点とを見極めるための指針となります。

サービスに関するフィードバックを募り、市民と共に問題解決に取り組んでいる公共機関は、デジタルソリューションを展開する際の最善の方法に関するより深いインサイトを得ることができるでしょう。しかし、たとえ十分にパーソナライズされたデジタルソリューションを提供したとしても、駆け込み寺としての対面式が不要となることはありません。チャットボット、IVRツリー、オンラインアプリケーション、その他のデジタルツールが役に立たない状況の時、市民がサービスを利用できるようにするために不可欠な選択肢となるからです。