アクセンチュアが実施した調査によって、バイオファーマ企業がこれからのがん治療において提供するべき必須のサービスは、4つのカテゴリーに分類できることが明らかになりました。

患者中心のヘルスケアを実現するためには、製品主体の視点ではなく、個々の患者の視点から「患者一人ひとりのための最良の治療法」を考えなければなりません。アクセンチュアの調査では、最も多くの回答者が「今後より一層重要になる領域」として「患者一人ひとりとのディスカッション」を挙げました。

リアルワールドデータ（RWD）の活用と専門家とのディスカッションの重要性が高まっています。調査に参加したがん専門医の多くは、RWDとディスカッションを「極めて重要である」と回答しています。RWDは、「カスタマイズされた治療計画のディスカッション」および「科学的な視点での交流」に次いで、最も優先されるべき5つのサービスの１つと見なされています。

調査に参加した120名のがん専門医は、半数が大学病院に、半数が一般病院に勤務しています。この両者のニーズには明確な違いがあります。バイオファーマ企業は、いずれの病院で働くがん専門医の期待にも応えられるよう、それぞれにターゲットに応じたスキルを開発／獲得しなければなりません。

大学病院のがん専門医はプレシジョン・オンコロジーを日常的に活用していますが、一般病院のがん専門医が日常業務にプレシジョン・オンコロジーを活用するにはまず、その基礎を学び、専門家ネットワークにアクセスし、そしてシンプルかつ安全なOJTガイダンスを受けることが必要です。

また、大学病院のがん専門医は高度な専門技術を有したサポートチームを必要とし、一般病院のがん専門医は必要に応じて専門家との橋渡しも行うジェネラリスト的なサポートチームが支援を行う必要があります。

個別の製品に関するディスカッションや、患者の新薬利用へのサポートなど、従来のサービスを継続することも重要です。

アクセンチュアの調査では、サービスの提供は対面とバーチャルの組み合わせが望まれていることが分かりました。新型コロナウイルス感染症（COVID-19）感染拡大によってバーチャルなサービス提供が増えたとはいえ、がん専門医は対面での会話が今後も重要であると考えています。

たとえば、特定の患者への最良の治療法や、特定の患者のゲノム解析／バイオマーカーの結果に関するディスカッションでは、特に対面での対話が求められます。興味深いのは、大部分のサービスについて医師らがグループディスカッションを望んでいること、またそうしたディスカッションへの案内を積極的に求めていることです。唯一の例外は、特定の患者について検討する場合です。このような場合には、医師は対面やオンデマンドでのone-on-oneのサービス提供を希望しています。

大部分のサービスは、医学に関する一般的な知識があれば提供が可能です。ただし、一部の高度なサービスは、経験豊富ながん専門医や専門家によって提供されなければなりません。

バイオファーマ企業にとって、がん専門医との革新的なインタラクションは、リーダーとフォロワー(追随者)を分ける大きな差別化要因になります。そのようなインタラクションを実現できたバイオファーマ企業は、差別化されたアウトカムを患者に提供することができます。アクセンチュアは、差別化を目指すバイオファーマ企業に対して、以下の3点を提言します。

1. 新たなピア・ネットワーク・エコシステムを共に構築する
2. 将来的なニーズに主眼を置いた、顧客中心の専門家チームを構築する
3. 新たなテクノロジーを活用して知見を獲得する

テクノロジーに関する解説を含む調査結果の詳細は、レポート全文でご確認ください。