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調査レポート

成功への道筋

社会インフラ&キャピタル・プロジェクトを成功させる手法とは

5分(読了目安時間)

2025/04/09

概略

  • 92%の社会インフラ&キャピタル・プロジェクトは、完了時期が遅延または予算を超過しています。

  • わずか6%のトップパフォーマー企業のみが、社会インフラ&キャピタル・プロジェクトを継続的に計画通り実施し、投資対効果を享受しています。

  • 社会インフラ&キャピタル・プロジェクトを成功させる4つの道筋を明確化します。
企業のパフォーマンスに応じて3つのグループを定義
企業のパフォーマンスに応じて3つのグループを定義

社会インフラ&キャピタル・プロジェクトの現状

アクセンチュアの調査によると、92%のキャピタル・プロジェクト(大型投資建設&EPCプロジェクト)で完了期日が延期し予算が超過しています。一方、わずか6%のトップパフォーマー企業は予算を14%下周らせていますが、その他の企業では30%超過しています。プロジェクトの遅延は、サプライチェーン全体を混乱させ、ゼロ炭素目標を困難にし、企業は信頼を大きく失墜します。

では、トップパフォーマー企業が成功している要因は何でしょうか。アクセンチュアが社会インフラ&キャピタル・プロジェクトのグローバルリーダー700人に実施した調査によると、トップパフォーマー企業は、巨大な建設プロジェクト特有の複雑さや課題を特有のケイパビリテで克服していることが明らかになりました。多くの課題は、ステークホルダーによる監視の強化、原材料や設備費用の高騰、絶え間なく変化する規制環境などから生じ、チーム内で高度なスキルポジションを採用する際に問題がより悪化する傾向にあります。2025年には世界のキャピタル・プロジェトへの支出 (住宅を除く) が9兆ドル超になると予想され、迅速な対応が必要といえます。

パフォーマンスの違い

本調査では、社会インフラ&キャピタル・プロジェクトを、期日内、予算内に実施する観点から、企業のパフォーマンスに応じて3つのグループを定義します。

企業のパフォーマンスに応じて3つのグループを定義

トップパフォーマー企業
6%のトップ企業は、プロジェクトを常に期日内に完了し、予算目標を平均14%下回らせています。

ミドルパフォーマー
28%の企業が、期日と予算目標を±10%以内で達成しています。

目標を達成できないパフォーマー
多くの組織(66%)が10%以上にわたり期日・予算目標を達成しておらず、平均して予算が29%超過しています。

計画を達成、あるいは前倒しで完了している企業はわずか6%と少なく、さらに目標を達成できない企業はトップパフォーマー企業の10倍以上を占め、変革の必要性が顕著となりました。

キャピタル・プロジェトのトップパフォーマー企業が優れている理由

アクセンチュアの調査では、常にターゲットを上回る組織をトップパフォーマー企業とし、彼らが優れている4つケイパビリティを明確にしています。

トップパフォーマー企業の優れている4つケイパビリティ
トップパフォーマー企業の優れている4つケイパビリティ
01

インサイトを先見性につなげる

トップパフォーマー企業は、高価値または高リスクな要因へ素早く対応し、意思決定に係るポイントにサプライチェーンを組込むことで、不確実な事象に対応する柔軟性を発揮しています。彼らは、デジタルツインやAIによるデータからのインサイトとテクノロジーを活用しトレンドを予測しながら、プロジェクト計画を洗練させています。Integrated Project Delivery(IPD)やリアルタイムコラボレーションツールなどの先進的な手法は、プロジェクトの精度と適応性を高め、プロジェクト成功率を最大42%向上させます。

02

ステークホルダーとの連携

規制当局から地域社会まで、多様なステークホルダーとの連携が重要です。トップパフォーマー企業は、ステークホルダーとコラボレーション・ツールを通じて頻繁なコミュニケーションを実施することで透明性を確保し、プロジェクトの進捗状況をリアルタイムにデータで提供しています。VRや感情分析などのイノベーションは、ステークホルダー全体を巻き込みながら、懸念事項に積極的に対処し、彼らの信頼と協力を強化しています。

03

コンプライアンスを超えたESGの推進

サステナビリティは、プロジェクトを成功させる核心的な要件であり、偶然には創出されません。トップパフォーマー企業は、二酸化炭素排出量がゼロの材料を使用し、リアルタイムに環境追跡が可能なスマートセンサーや、ライフサイクルアセスメントソフトウェアなどのツールを活用しプロジェクトを設計しています。原材料のドローンとAI駆動分析は、オペレーションと報告プロセスを最適化し、ESG目標を達成しながらレジリエンスを向上させます。トップパフォーマー企業はこうした戦略を実行することで、常に期日通り・予算通り、そして広範な社会的・環境的優先事項に対応したプロジェクトを実施しています。

04

高度なスキル構築と維持

熟練社員は後継者が育成される前に退職する傾向にあり、人材不足がキャピタル・プロジェクトを悩ませています。トップパフォーマー企業は、スキルギャップのマッピング、グローバルな人材の活用、見習い制度や包括的な採用プログラムを導入し、人材問題に対応しています。彼らは従業員の満足度を優先し、定着率の向上に努めています。AIやVRなどの先進技術で採用とトレーニングを効率化し、プロジェクト計画やサステナビリティなどの重要な分野で専門家を育成するリスキリングプログラムを支援しています。

次に必要なアクションとは

2/3の企業がキャピタル・プロジェトのターゲット目標を達成できず、変革を求めています。トップパフォーマー企業のケイパビリティを早急に習得することで、変革を始めましょう。

  • 効果的なプロジェクト計画には、企業のガバナンスと連携し高付加価値のタスクに焦点を当てること、不確実性の予想、データ駆動型のインサイトにより意思決定を導くこと、が含まれます。

  • プロジェクトのデリバリーチームは、明確な役割とプロセスを共有できる組織横断的な体制であるべきです。

  • ESGの優先事項は代替的な資金調達の選択肢を増やし、デジタル技術とAIはデータを透明化し意思決定を向上させます。

  • ターゲットを絞った採用、リスキル、テクノロジーを活用した採用とトレーニングの合理化など、スキル・ギャップに対応する強力な人材戦略が重要です。

いま変革を起こし、社会インフラ&キャピタル・プロジェクトのトップパフォーマー企業として強みを発揮しましょう。

筆者

Andy Webster

Global Infrastructure & Capital Projects Lead, Industry X

Bryan Carruthers

Americas Infrastructure & Capital Projects Co-Lead, Industry X

Jeff Wheless

Principal Director – Industry X, Accenture Research