調査レポート
Software-Defined Vehicleが自動車OEMの変革を加速
5分(読了目安時間)
2023/08/18
調査レポート
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2023/08/18
急速に変化する自動車業界でOEMが競争力を維持するには、自らの役割を早急に再定義する必要があります。既に、テクノロジー大手や新興自動車メーカーなどの様々な企業では、ソフトウェアを中心に開発された自動車、いわゆるSoftware-Defined Vehicleが創出する新しい世界(デジタルモビリティや体験、サービスなど)をターゲットに掲げ積極的な活動を行っています。
アクセンチュアは既存OEMの動向を把握するため、自動車業界の経営層にインタビューを行い、広範な調査を実施しました。
結果は明白でした。OEMは新規デジタルビジネスを素早く運用することが難しいと感じており、それは各社の最終収益にも影響を及ぼしています。調査によると、2017年から2022年にかけてテスラやNIOなどの新規プレイヤーは、既存OEMと比べ高い収益成長率と時価総額を維持していることが判明しました。
「最高の車」を提供するだけでは、勝者とはなりえません。顧客に最高の体験を提供する企業こそが、勝利を収めることができます。そのためには適切なテクノロジースタック(ビジネス目標に必要となる一連のテクノロジーサービス/ツール群)を適用し、新たなビジネスモデルと完全に適合することが肝要です。
OEMが自社のビジネスモデルに合ったユーザー体験を実現するためには、テクノロジースタック内のどのコントロールポイントを自社が有するべきかの決定が必要です。これは非常に複雑な検討を要します。今日の自動車テクノロジースタックは、車両そのものだけでなく、接続されたデジタル体験やサービスといった要素も包含しているからです。
製品やサービス体験を提供するハードウェアからクラウドのバックエンドまでのすべてを構築し所有します。このアプローチは、最も高い収益が期待できる反面、リスクも大きく、複雑なソリューションといえます。
ハードウェアの機能強化に必要なすべてのソフトウェアとサービスをコントロールすることを目指します。オープンソースを活用することで自社でコントロールする領域を広げることは可能ですが、同時に必要となるコストや要員の能力等とのトレードオフをマネージする必要があります。
サードパーティ製のハードウェア (HW) およびHWに近いソフトウェアで動作する高度に専門化されたサービスを開発するためのエンジニアリング努力を対象とします。これにより、顧客エクスペリエンスの所有権が提供され、貴重なエンドユーザーデータへのアクセスが可能になりますが、ハードウェアの品質と提供されるエクスペリエンスの制御が制限される可能性があります。
プラットフォーム (ハードウェア、ソフトウェア、またはその2つの組み合わせ) を提供し、他のユーザーがその上に構築できるようにします。このアプローチの成功は、アーキテクチャの整合性、プロセスガバナンス、およびサードパーティへの広範なメンテナンスとサポートの提供の複雑さを管理することにかかっています。
OEMは変革の岐路に立たされていますが、今は立ち止まる時ではありません。製品自体の見直しのみならず、独自のユーザー体験の提供を通じたビジネスを創造すべく、俊敏なデジタル企業への変革を強力に推し進めることが重要です。