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全社DXの足掛かりとなるDigital Commerceへの企業の挑戦

所要時間:約3分

2022/11/21

Digital Commerceが再注目されている

1990年代のインターネットの台頭に端を発するE-コマースの登場以降、情報ネットワークの民主化、デジタル技術の進化に伴い、企業活動、特に顧客接点において、あらゆるチャネルでデジタルが介在する世の中となりました。また、昨今ではCOVID-19の影響を受けて、その社会的ニーズがますます高まりを見せています。

コマース業界において2010年頃からトレンドとなった「オムニチャネル」や「OMO(Online Merges with Offline)」という言葉は、現在でも小売企業をはじめとした様々な業界、企業で「変革すべき道」として登場しており、アクセンチュアでも同種のコンサルティング依頼をお受けする機会が多く見られます。

Digital CommerceはE-コマースと何が違うのか、その難しさとは

ここで少し疑問を覚えた読者もいるのではないでしょうか。2010年頃に台頭したこれらの考え方が約10年の時を経てもなお企業の経営アジェンダの一つとして掲げられていることに。

なぜ企業は満足のいくDigital Commerceの実現に苦戦しているのか。それは、かつて企業がインターネットビジネス(E-コマース)を導入した時代に経験した変革よりも、Digital Commerceはより広範囲で複雑であるからに他なりません。

E-コマースの導入を「オンライン販売チャネルの構築」と位置付けるならば、Digital Commerceは「企業と顧客との全ての接点」を対象としている点、フロントチャネルのみならず、マーケティング、コンテンツ管理、サプライチェーン、店舗オペレーション、カスタマーサポート等、従来のコマースの周辺に位置づけられる業務機能をも変革の対象とする点に大きな違いがあります。E-コマースはオンラインチャネルとしての購買体験に焦点を当てるのに対し、Digital Commerceは顧客を中心とした包括的サービスの提供を目的として、企業内のケイパビリティ自体を変革することに焦点を当てているのです。

では、多くの企業がDigital Commerceの実現に苦戦を強いられている原因はなんでしょうか。そこには、これまでに企業が培ってきた企業文化や働き方、政治力学などの根深い問題もあれば、デジタル人材の不足による企画・推進力の問題もあります。また、企業が頼みの綱とするソリューションベンダーの観点でも苦戦の原因があるように思えます。E-コマース導入時の「成功体験」からITベンダーをパートナーに選択するケースを多く見ますが、往々にして前述した本質的な問題の壁を前にして悪戦苦闘している企業を多く見かけます。このような大小様々な障壁を乗り越えて、企業そしてパートナーが一枚岩となって推進していくことがどうしても求められることが、Digital Commerceの本質的な難しさの原因であると考えています。

Digital Commerceは全社DXの足掛かりとなる存在

これまで述べてきたことから、Digital Commerceとは全社DXそのものへのチャレンジであると読み取ることが出来ると思います。顧客を中心に据えたサービスへの生まれ変わり、刻々と変化する顧客ニーズや進化し続けるデジタル・テクノロジーへの絶え間ない追従を目的として、従来型の組織構造や業務プロセス、IT、そして従業員の価値観そのものを変革することが求められているからです。

組織構造の観点では、より柔軟な意思決定と迅速なシステム開発を可能とするために、業務部門とIT部門を融合した組織設計や投資判断等のガバナンスモデルの見直しが必要とされます。業務プロセスの観点では、あるべき顧客サービスを実現するための前提となるデータ品質の確保が必要です。そのため、より上流のプロセスに対して、経済合理性を保ちながらこれまで以上に高いオペレーション品質が求められます。また、下流ではそれを活用したオートメーション技術による徹底した効率化が必要とされます。ITの観点では、機能性、非機能性の両面でビジネスニーズを満たすための柔軟なアーキテクチャが求められ、これを実現する全社プラットフォームの見直し、最適なソリューションの適用が必要とされます。

アクセンチュアのケイパビリティ

アクセンチュアが取り扱うDigital Commerce案件には様々なタイプがあります。E-コマース単体のサービス導入、MA(Marketing Automation)やOMS(Order Management System)、SCM(Supply Chain Management)の導入・刷新も含めた取り組みなど、大小様々なご依頼を頂いています。自社独自のソリューションをあえて持たないアクセンチュアでは、これら大小様々なビジネスニーズに適合したソリューションを約300にものぼるグローバルエコシステムパートナーと協業しながら、ご提案および開発、運用をご支援しています。

なかでも全社DXに結びつくDigital Commerceはアクセンチュアの真価を発揮するものであると考えています。先述の通り、Digital Commerceの実現には、経営・業務・ITの全ての側面から統合的にアプローチする必要があり、アクセンチュアではそれらを実現するための様々な専門組織や方法論、アセットを有しています。代表的なものとしていくつか紹介します。

ビジネスパートナーとしてのアクセンチュア

全社DXの足掛かりとなるDigital Commerceの世界において、アクセンチュアは川上から川下まで一気通貫でサポートするケイパビリティを有しています。デジタルビジネス戦略の策定からカスタマー・エクスペリエンスの設計、クラウド起点且つアジャイルなシステム開発、AI等を活用した運用の高度化など、アクセンチュアは「単にシステムを作って終わり」ではなく、企業の短期あるいは中長期的なビジネス成果を共創するビジネスパートナーとして様々なお客様へサービス提供をさせて頂いています。

筆者

田村 浩章

テクノロジー コンサルティング本部 クロスプラットフォーム コンサルティング - カスタマー & セールス グループ アソシエイト・ディレクター