脱ホストを完了で、レガシーの次世代への先送りを阻止
20年来の悲願であった三菱重工 相模原拠点の脱ホストはかくして成し遂げられました。自社のプライベートクラウドにリライト後のシステムを構築した事もあり、ITシステムの保守費用は10分の1となりました。
現在はCOBOLとJava、両方のエンジニアを抱えている組織・人事関連の課題もゆくゆくはJava人材へ統一されることで人件費等の低減になると期待されています。
今回のプロジェクトにおいても、変換ツールを活用したことで「COBOLライクなJava」が生成されていることは事実です。しかしJava変換とオープン化によってテストケースが用意されるだけでもレガシー化は排除できます。考え方1つでモノの見方が変わるように、たとえCOBOLライクなJavaであっても、Javaのエンジニアが扱えるようになるだけで組織運営上は極めて健全な環境が実現できます。
三菱重工のCOBOLは、標準規格に則ってエンジニアが手で書いたプログラムでありましたが、以下のようなケースではさらに難易度が高まっていた可能性があります。
- ケースツールが多用されていた場合
- 対応可能なプログラマーがすでに存在しないマイナー言語が使われていた場合
- 大量のアセンブラ(1,000本以上など)を抱えている場合
- 階層型データベースが使用されており、変換できてもパフォーマンス劣化が問題となる場合
「三菱重工の歴代のエンジニアがコツコツと性能改善を続けてきたメインフレームであり、私たちの歴史そのものでもあります。最後に残った移行困難性の極めて高いレガシーを、私たちの代で解消して次世代へ先送りしないことは使命であると考えて取り組みました。IT視点の課題をいかに経営課題へと押し上げ関係部門の協力を得る事が脱ホストを実現するためのポイントであったと学びました」(菅氏)
明日の経営判断に資するシステムの実現
日本のメインフレームは、構築を手がけたエンジニアから若手への技術継承の機会を失ったために手のつけられないレガシーと化しているケースが多数派です。この呪縛から解放された三菱重工 相模原拠点では、新システムが稼働したことによってBIツールの活用も容易となり、社内状況のリアルタイムな可視化など経営判断に貢献できるメリットを享受できるステージへと入りました。
菅氏は、「週末にしか集計できなかったような分析処理が、オープン化によってリアルタイム化できました。こうした時間軸の圧縮などが、デジタル化の真の恩恵です。これから新しい価値を出していきたいと考えています」と述べ、アクセンチュアのエンド・ツー・エンドでの支援が脱ホストという難関の突破に貢献したことを評価しました。
本プロジェクトを牽引したテクノロジー コンサルティング本部 シニア・マネジャー 岡本篤は「システムの中身について熟知している菅様がプロジェクトマネジャーとしてリーダーシップを発揮してくださったことが最大の成功要因であったと感じています。またアクセンチュアが三菱重工様の課題解決にコミットし、コンサルタントとテクノロジーの人材が一体となったコラボレーションを実現できたこともプロジェクト成功に大きく寄与したのではないかと自負しています」と語ります。
このように、菅氏がプロジェクトのあらゆる場面でハブとなり、経営層や現場、ITとユーザー部門を結びつけて有機的なプロジェクト運営を実行されたことは、まさに本プロジェクトの成功要因であったといえます。
アクセンチュアは、三菱重工 ICTソリューション本部へのご支援を継続すると共に、蓄積したモダナイゼーションの知見を全国の企業へ展開予定です。日本の脱ホストや脱レガシーの実践的先駆者として、日々蓄積している経験を強みとしてお客様のご期待にお応えしてまいります。