町田 産業へのCGI導入において日本企業は後塵を拝していますが、私たちMackevisionは挽回できると考えています。企業がDX(デジタル変革)を推進する上で、CGIが重要な要素となるからです。
乗り越えるべき最初の大きなハードルは、企業全体ひいてはサプライチェーン全体での「3Dを共通言語化して利用する体制の確立」です。そのうえではまず、3DCGのデータをしっかりと持っていなければなりません。日本企業で陥りがちな課題を整理すると、次の4点が挙げられます。
- 3DCGデータの形式やプロセスが厳格に定義されていない
- メーカー側が製品全体の3DCGデータを持っていない
- CG制作を外部ベンダーに任せているため元データが自社内になく、モデルチェンジのたびに発注し直さなくてはならない(OEMとしてのガバナンスが効いていない)
- データが存在しても断片的なものしかなく、使い方もバリューチェーンの観点で途切れている
このため、第一歩として3DCGに関する知見を内製化し経験を獲得したいというニーズが多くの日本企業から聞かれます。
これらは製造業だけでなく、商品としてモノを扱う企業では共通のテーマになるでしょう。
3DCGはプロダクトを超えて、都市のあり方を変える取り組みにも活用されています。国土交通省では現在、日本全国の
3D都市モデルの整備・オープンデータ化プロジェクト
「PLATEAU」(プラトー)を主導し
3DCG活用の実証実験を展開しています。
リー 新型コロナウイルスのパンデミックでCGIの重要性が増しているとも言えます。デジタルタッチポイントやデジタルチャネルが幅広く活用されはじめているからです。デジタル化は営業やマーケティング部門が吸い上げた顧客ニーズをスムーズに製品に反映できるなど、設計開発プロセスにも柔軟性をもたらします。
一方、
CGIソリューションの恩恵を得るには、業務全体のデジタル化が欠かせません。言い換えると、
あらゆる情報をデジタル上で構造化することでデジタルツイン(現実世界の環境や物体をバーチャル空間で再現したもの)を作れるようにする必要があります。デジタルツインを作るには、いくつものプロセスを定義し、個々の役割を明確にする取り組みが不可欠です。
CGIの活用は、そういう意味で組織横断の取り組みになります。これは大きな課題ですが、
Mackevisionの最大の強みは業務全体のデジタル化に際したニーズを正確に把握できるコンサルティング能力と、蓄積してきた経験や知見を組み合わせた「
Dynamic Visual Contents
Solutions」として体系化している点です。
小春 ビジネスのデジタル化が進み、CGIの活用領域はますます拡大するでしょう。これは生活者の行動様式の変化にも合致しています。スピードこそがこれからのビジネスで大きな成功要因となることは間違いありません。
たとえば「家を建てたい」という個人客はこれまで、住宅メーカーの展示場やモデルルームに電話をかけて休日の訪問を予約し、実際に空間を見ながら提案を受け、大量の紙のパンフレットを抱えて帰り検討するというのがパターンでした。しかしモデルハウスが3DCGになっていれば、その顧客は「見たいと思ったその場」でWebにアクセスし、イメージする住宅を画面上でどんどん組み立てて仕様や見積りを検討できます。リアルタイムCGが実現するのはこのような世界です。
このとき、安っぽいCGでは顧客は興醒めです。購買意欲を無くすばかりか、その企業の評価さえも落としかねません。なぜなら顧客は映画やゲームなどでハイパーリアルの映像を日常的に目にしており「CGIでどのような表現が可能か」を体験的に知っているからです。
企業にとって3DCGを活用しているか、していないかは、顧客獲得を直接左右するほどインパクトの大きなことだと言えるでしょう。