事例
プラダのパーソナライゼーションへの挑戦
ラグジュアリー製品のカスタマイズを新たな高みへ
所要時間:約5分
事例
ラグジュアリー製品のカスタマイズを新たな高みへ
所要時間:約5分
その歴史において常に革新を追い求めてきたプラダ。名高い「アメリカズカップ スニーカー」の最新作にあたっては、ラグジュアリー業界では大変珍しいオンライン上のカスタマイズ体験の提供を試みることにしました。
そこで構想されたのが、顧客がスニーカーに使用するさまざまな素材や色を選びイニシャルを入れられる3Dウェブコンフィギュレーター。実現のためには、スニーカーのデジタルツイン、つまり実物を正確に反映するよう設計されたバーチャル・モデルを作成する必要がありました。
3Dモデルは物理的なスニーカーと同様ブランドの品質基準を忠実に満たす必要があると同時に、コンフィギュレーターはさまざまなブラウザやデバイスからアクセスできなければなりません。また、顧客が選択肢を試す間シームレスな体験を確保するため、コンフィギュレーターは素早く読み込まれることが求められます。そのためこの取り組みは、プラダがデジタル領域で大きく飛躍し、ラグジュアリーの伝統を継ぎつつ新しい体験を開拓する大きな一歩を踏み出すことを意味しました。
プラダとアクセンチュアは、実物のスニーカーのサイズ、形、素材、色の細部まで忠実に反映するデジタルツインを作成。その後、顧客にカスタマイズの旅を分かりやすく案内する最先端のコンフィギュレーターを開発しました。これにより、顧客は3Dモデルを360度操作しながらスニーカーをカスタマイズできます。
5,000万通り以上あるスニーカーのコンフィギュレーションに対応する2D画像を予め用意することは不可能なため、両社はリアルタイムでレンダリング可能な革新的なサーバーを考案しました。顧客がスニーカーをデザインすると、レンダリングサーバーがその特定のコンフィギュレーションの高解像度画像を生成し、わずか数秒でプラダのさまざまなシステムに配信。最終デザインが決定し購入されると、生産チームはその画像を使用して正確に注文に応えることができます。さらには、実店舗で使用できるコンフィギュレーターも構築しました。
「私たちは、革新的な3Dデジタルツイン技術を活用して顧客のあらゆる要望に応えるパーソナライズされた製品を作り上げました。市場投入までの時間を短縮した大規模なオーダーメイド製品ラインの実現に向けた舞台が整いつつあると言えます」
— Cristiano Agostini, プラダグループ最高情報責任者
プラダはわずか4カ月でウェブコンフィギュレーターを立ち上げ、その3週間後には店舗版を導入。顧客に購入までの道のりを分かりやすく案内するというシンプルな方針のおかげで、カスタマイズ体験はあらゆる期待を上回りました。スニーカーの3Dモデルは非常にリアルで、コンフィギュレーターの読み込み速度はプラダの当初の目標を上回るわずか数秒。とりわけ先進的なのは、カスタムビルドの4K画像をリアルタイムで生成するレンダリングサーバーです。拡張可能なクラウドのアーキテクチャーにより、同じ戦略を他の製品にも適用できます。実際、プラダはすでにハンドバッグ「ガレリア」に同様のコンフィギュレーターを用意しています。
ラグジュアリー製品のカスタマイズという新たな体験で顧客に感動を届けながら、プラダは新たな成長方法の可能性を示しています。アメリカズカップ スニーカーの取り組みは、伝統あるブランドの次の10年に向けた船出を後押ししているのです。