「顧客中心のサプライチェーンプロセスへの変革」を実現するには、どのようなアプローチが有効なのでしょうか。 アクセンチュアでは8つのキーブロックで構成される「4つのアプローチ」がサプライチェーン変革のエンジンになると考えています。
アプローチ1: 「Configure」― 構成を考える
Configureは、顧客セグメントに最適化したプロセスの構築や、マスカスタマイゼーションに対応するアプローチです。
マスカスタマイゼーション対応には、サプライチェーンの中でコンセンサスをいかに取るかが主要な課題です。近未来のサプライチェーンは、「主要なネットワークに参画するキープレイヤーと、乱立する小規模なファンクションやステークホルダーが結びつくもの」となるでしょう。サプライチェーンのモデルが時と場合により柔軟に変形、伸縮するなど、自在に構成を変えるものとなります。その際、顧客ニーズや製品セグメントに応じたフレキシブルな「Asset-Light(自社のみではない資産の活用した)ネットワーク」を構築することにより、効率的にリソースを活用できる自律的なエコシステムが実現します。
アプローチ2: 「Connect」― ネットワーク刷新による全体連携
マスカスタマイゼーションを切り口として改善を進めるには、既存のネットワークやプラットフォームを刷新して、ハブ機能を持つモデルへと転換する必要があります。「自律的に最適化するネットワークで各SCMステークホルダーが繋がることにより全体を連携させる」といった発想が不可欠です。
Connectの結果、インテリジェントテクノロジーの活用とサプライチェーンのシームレスな連携が可能になります。これにより、エンドツーエンドでの見える化が可能になり、自社内のシステム連携はもちろん、ステークホルダーとのコラボレーションを生み出す基盤として機能します。
このアプローチでは、「インテリジェント・ブレーン」が今後の重要な存在となります。これはプラットフォームのエンドツーエンドでの情報連携において、非構造化データも含めて収集、情報クレンジングを行うものです。AI活用と職人技を掛け合わせることで、従業員のトレーニング機会や事業継続性の向上、24時間/365日の自動対応の実現に貢献します。
アプローチ3: 「Operate」― 全体把握とアラート管理
Operateにおいては、自社の人材の最適な再配置を実施することなどにより、「サービスオリエンテッド型オペレーティングモデル」へと変革します。顧客サービスを軸として、Liquid Work Forceを活用するエコシステム構築のためのアプローチです。
その際、硬直的なオペレーションを構築するのではなく、as-a-Service思考でモデルを描くことが重要です。要点は可変モジュールを組み合わせ、プラグ・アンド・プレイで進めることです。サービス内部でコンテンツ化やモジュール化を行いつつ、「コアでやるべき領域」と「周辺の方が強い領域」を連携させながら全体把握とアラート管理を常に改善し続けます。
アプローチ4「Optimize」― プロセスの効率化・最適化
複雑化したプロセスの効率化・最適化にはAIの活用が効果的です。このアプローチにおいては、人材のポテンシャルを他の業務領域へ注力できるようにする発想が非常に重要です。
たとえば従来から調達購買の領域は「KKD(経験・勘・度胸)の世界」だといわれてきました。しかし今後は高度に洗練されたAIやアナリティクスを使い、イノベーションを起こす仕組みがビジネス成長において不可欠となります。
非構造化データをいかに吸収しながら「過去・現在・未来」を描いていくのか、状況ごとにいかに最適なKPIを設定するか。今後のビジネス現場では、「既存プロセスがベストである」というケースはなくなり、持続的なイノベーションによって「常に変え続ける」ことがより求められると予想されます。