ブログ
金融サービスグループ - 金融機関の基幹系システムのクラウド移行を担うクラウド人材の育成 #1
所要時間:約5分
2022/09/26
ブログ
所要時間:約5分
2022/09/26
テクノロジーコンサルティング本部 金融サービスグループ シニア・マネージャーの青柳雅之です。
金融業界ではテクノロジーの急速な進化と既存システム(メインフレーム・サブシステム)の老朽化・様々な現行業務に紐づいた多くの機能による複雑化により、大きな転換期を迎えおります。DXで業務改革を実施するだけではなく、DXの足枷となっているレガシーシステムを刷新する必要があります。システムの根幹である基幹部分をどのように刷新するのか、経済産業省が指摘している「2025年の崖」の発表を基に注目されるようになりました。金融機関の基幹系システムはシニア世代によって支えられているレガシー言語で構築されており、レガシー言語を理解できた上でクラウド移行するための最新のテクノロジー知識を持った若い人材が必要とされております。今回より複数回にわたり、私の所属するAMO/J2C Practiceにおけるクラウド人材の育成について紹介します。
オンプレミス上でシステム開発する場合は、一般的にアプリ開発とインフラ構築が並行で進み、従来はアプリとインフラのチームが明確に分かれおり、かつインフラ構築のリードタイムが必要となることで、作業のボトルネックはインフラ側のハードウェア調達・環境構築作業にありました。オンプレミスではなくクラウド上にシステムを開発する場合は、インフラストラクチャーの物理的制約から解放されるため、調達期間の短縮、調達コストの一括負担が軽減されます。インフラ構築・構成変更が高速化したことによりボトルネックが移動したため、アプリケーションとインフラストラクチャーのチームが一丸となってプロジェクトを進める必要があります。クラウドを前提として、アプリケーション、インフラストラクチャーの両方を理解しているゼネラリスト人材を育てる必要があります。 AMO/J2C PracticeはそのためのPracticeです。なお、AMO(Application Modernization & Optimization)はホストコンピューター上で稼働するアプリケーションのモダナイゼーションと最適化、J2C(Journey to Cloud)はオンプレミスからクラウドへの移行を意味します。
アクセンチュア社内にはクラウドを専門とする複数部署があります。これらの部署と我々のPracticeの違いは何でしょうか。当然、クラウド専門部署と共通のケイパビリティを持つ必要があります(下図の下側)。しかし、我々は金融サービスグループですので、独自のケイパビリティ(下図の左側)を持つことを目指しています。この図ではクラウド専門部署では高い実装力、最先端のクラウド技術知識の理解を必須としていますが、我々ではそれらをオプションで身に着けるケイパビリティという位置づけにしています(実際には部署毎に詳細なケイパビリティの定義がありますが、我々の目指すところの違いという意味で簡略化して記載しています)。当然、業務の中で最先端の技術を利用する場合はそれらの技術もマスターすることになります。
金融サービスグループ独自のケイパビリティとして目指すところは、「金融クライアントの要件をソリューションに変換できること」、「基幹システムのクラウド移行の方式を定義し、ビジネスケースを算出できること」としています。ここで、ビジネスケースとは、移行のための工数や人的リソースの割り当て計画、コスト削減効果から求められる投資対効果を意味します。それでは、このケイパビリティを得るために、前提となるケイパビリティを見ていきます。
#2では、現在行っているクラウド人材育成について詳細を記載します。